Artist Interview 第5回 小田和正氏(歌手・シンガーソングライター)
早稲田大学グリークラブ100周年特設サイト

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早稲田大学グリークラブ、そして男声合唱・学生合唱の未来についてのインタビュー企画

アーティストインタビュー第5回は、小田和正氏です。 大学院時代早稲田に在籍され、そのころから早稲田グリーの存在は知っていたという小田氏。2007年、早稲田大学グリークラブ創立100周年のために、記念愛唱歌「この道を行く」を作曲してくださいました。 このインタビューは昨年(2007年)の第55回定期演奏会のパンフレットに掲載されたもので、小田氏が合唱について語る貴重なインタビューとなっています。

聞き手:
  • 斎藤善大(ベースパートリーダー)
  • 志波昭宏(グリークラブ部長)
  • 星 雅貴(学生指揮者)
  • ※3人とも平成20年卒団

Artist Interview 小田和正氏

− 今日はよろしくお願いします。はじめに、我々から最初に依頼を受けたときの感想をお聞かせ願えますか?

小田手紙を見たとたんに、すぐ曲のことを考えていたな。どういう曲で書けるか、前に学校にも曲を書いたことがあるし、まあできるかなと。まず、男声合唱ということもあるから、どんな曲になるかな、ということを考えてた。

− 小田さんは学生時代に合唱をやっていたそうですが、合唱を始めたきっかけは?

小田和正氏
小田単純に兄貴がやっていたから。なんせ、なんでも兄貴のやることをおっかけていた。野球もそうだし、音楽もそうだし、合唱もそう。俺が受験のころ、隣の部屋に兄貴の友達が泊まりに来て、部屋でハモったりしているのを聞いていてね。そのときにピッチが低い、とかいって嫌がられたけどな。まあ、やってみようかな、と思って。あと、仙台行ったとき、最初は運動がしたいと思ってたんだけど、下宿には風呂が週2回しかなくて(笑) それが大きかったかな。下宿に毎日風呂があったら、合唱やってなかったかもな。

− 男声合唱曲で好きな曲はありますか?

小田やっぱり多田武彦さんの曲は歌っていて気持ちよくなれるようにできてるじゃん。もうそれはずるいくらいに。やっぱりすごく、エンターテイメントの人なんだよね(笑)。合唱曲っていうと、ちょっと理屈っぽい曲に走る可能性があるわけじゃん。三善晃とかさ。彼なんかは、どっちかというと前衛的でさ。やっぱり、多田さんの曲はたいてい歌ってると気持ちよくなるから、何か歌おうとするときには、多田さんだね。世界的に見ると、特殊な和声というか。オリジナリティーがあって、あれはちょっと違う。日本的で。あと、宗教曲みたいなのもよく歌ったけど、宗教曲なんて普通にしてたら一生歌う機会はないわけだし、それは結構ためにはなったな。あと、「岬の墓」。あれはたまたま木下保っていう指揮者がきて、さんざん怒られた。仙台まできて、こっちは聞いているうちにピッチが下がってるのが分かるくらい下手でね。一回ワグネルが歌ってるのを聞いたけど、やっぱりうまかったな。あと、「水のいのち」は今まであまり好きじゃなかったんだけど、ああ、最近こういうことか、と分かるようになったね。

− 以前、小田さんが横浜の創学館高校に書かれた愛唱歌にも「友」というものをテーマにしていらっしゃいましたが、小田さんにとって「友」や「仲間」とは何ですか

小田一番かけがえのないものだし、自分と時間を共有してきたっていうこと、たとえばさ、自分の小さかったころの自分の行動を知ってくれているということは、ある意味、自分のコピーというか、自分がコピーされてるみたいな人たちじゃない。それは他の人にはないことだね。俺もこいつがガキだったころを知ってるし、こいつも年をとったな、とか思ったりね。そういうのは、他の人にはないものだし、とっても大事な、素敵なもの。でも、新しく知り合った友達には価値がないかというと、そういうことでも無い。年をとると、疑ったり、すぐに人を見限ったりするようになるけど、それでもこの年になってこんな素敵な友達ができたんだ、そう思うと、なかなかないことだしね。結局、古い友達も、新しい友達も、同じように貴重だと思う。あと、横浜のときのは、学校に対する思い、その場所と、そういうものに対する思いだね。自然の空気感というか、キャンパスとかね。もう何か一発書くとなると、やっぱりその思いだけになるな。

− 我々に伝えたいことも、歌にすべてこめられていると。

小田和正氏
小田おまえらが何年かたったら、あの歌こういうことだったんだな、と思うんじゃないかな。今でもなんとなくそういう雰囲気だなと、伝わることもあるだろうけどね。何か、はずしてないだとうな、という感じがする。君らはとくにまじめなやつらばっかりだからさ。やっぱり、どうにかして本気になって歌ってもらわないとつまらないしね。さっき僕がみんなに、彼女いる人手を挙げろ、とか言ってたけど恋愛の歌にしても、そうなのかなあと思って歌うよりは、そうだよなあ、と思って歌ってもらうほうがいいし。

− 我々も非常に身近に感じることのできるところがたくさんありました。月の光の下で練習したり、とか。小田さんは全部分かっているなと。

小田本番のステージで君たちが「月の光・・・」のあの部分を歌うとき、その光景を思い出すと思うよ。その、ばっとそれがうかんだらいいな。

− 100周年を迎えたグリークラブに対して、何かメッセージをお願いします。

小田まあ、いろんなことがあるけど、まずは当日初めて合唱を聞くお客様にも、こういう世界があったんだ、ということを知ってもらいたいな。あと、団員が少なくなっているという話を最初に聞いたけど、それは寂しいことだし、とっても大事な、しかも素敵な文化でもあるし。それを継承して、存続させていくのは、もう団員たちの、努力しかないんだし。その努力のひとつだと思うんだけど、今回はたまたま俺のところへ頼みにきて、それが今回実を結んで、それでまた興味を持ってくれる人がいたならいい。これからも新しい曲もどんどん取り入れればいいと思うし、新しい部分を考えることは大事だろうと思うよ。ただ調子にのって変に力んで、そういうことだけには気をつけてほしい。結局、帰るところは多田武彦だったりするわけだから。100人もいれば一人二人変に浮かれるやつもいるだろうけど、そこは絶対忘れないように。そういう気持ちが、明日へつながるんだと思うし。

− どうもありがとうございました。

2007年10月 早稲田奉仕園にて収録
(第55回早稲田大学グリークラブ定期演奏会パンフレットより転載)
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